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在原業平の高安通い

高安の神立(こうだち)地区は、八尾市東部の山麓部に位置しています。自然豊かで、高安古墳群などの史跡で知られていますが、六歌仙の一人、在原業平に関する伝説が残るところでもあるのです。

その昔、ある男が大和の竜田から十三峠を越えて、高安11カ村の氏神である玉祖(たまおや)神社に参詣に訪れました。大阪・玉造と大和・竜田を結ぶ十三街道筋にあたる神立には、茶屋辻(ちゃやのつじ)と呼ばれるほど多くの茶屋がたち並ぶところがありました。男は、その中の福屋という茶屋の娘、梅野を見初めます。しばしば通ってくるようになったのですが、ある時、いくら合図の笛を吹いても娘が出てこないので、不思議に思い東の窓から中をうかがいました。すると、あろうことか娘は、自分でご飯を器に盛って食べているではありませんか。当時の貴族社会では、給仕は侍女の仕事であったため、娘の行為をはしたないと感じた男はすっかり恋心を失ってしまいます。持っていた笛を置くと、その場を立ち去っていきました。これに気づいた娘は、あわてて後を追いかけましたが間に合わず、悲しみのあまり近くの池に身を投げて死んでしまいました。以後、高安の里では「東の窓を開けると娘が縁遠くなる」と言われるようになったということです。

この伝説は、在原業平と思しき人物を主人公にした『伊勢物語』から生まれたとされています。似たような話は『大和物語』や『古今集』などにも見受けられます。いずれにしても、伝説の常として、長い年月を経る間にさまざまに変化していったようです。男が幻滅し去っていく理由に関しても、娘が手づかみでご飯を食べていたためという説もあるのです。

八尾に住む人々に語り継がれる業平伝説は「なりひらの恋-高安の女」という演劇にもなり、平成20年2月に上演されました。

◆資料(書名のアイウエオ順)

書名 著者(編者) 出版者(出版社) 出版年
伊勢物語 大津有一(校注) 岩波書店 1993
『伊勢物語』筒井筒を読んで(河内どんこう 83) 川口紀子ほか やお文化協会 2007
大阪の文学 古典篇 大阪府教育センター 大阪府教育センター 1994
大阪府全志 巻4(復刻版) 井上正雄 清文堂出版 1976
河内鑑名所記 三田章 中尾松泉堂書店 1985
河内の伝承考2(河内どんこう 61) 堀井建市 やお文化協会 2000
河内名所圖會 秋里籬島 柳原書店 1975
新日本古典文学大系 17
竹取物語;伊勢物語
佐竹昭広ほか 岩波書店 1997
なりひら河内通いの伝説(河内どんこう 43) 今瀬米造 やお文化協会 1994
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